終わりの季節
知らない服を着ていた。
そうか、季節が変わったんだ。
春に出会って、夏を過ごし、もう秋になっていた。
秋の深まる中、さすがに衣替えしたんだね。
そんなことをぼんやり思いながら、彼が話すのを見ていた。
うん。わかってたよ。
大丈夫。泣いたりも、責めたりも、取り乱したりもしない。
彼はちょっと驚いたような表情をして、でもまた、辛そうな顔に戻った。
そんな演じる必要ないのに。
さようなら。
私も本気で好きだったのだろうか?
いつもいつも会いたくて、会えると愛してるって言って来たけど、全部本当だったんだろうか?
彼が立ち去った浜辺。
冷たい風の中、海に向かって行く人をぼんやりと眺めていた。