いのちと向き合うこと
ちいさな2つの瞳。その輝きが消えた。
前日は夢で何度もうなされた。
覚えてるのは彼女のいなくなった部屋がとても広くなって、真っ暗な中で掃除をしていた。外も暗くてどんよりして、とても悲しくて怖かった。
起きたら現実が待っていた。彼女はいつもより良く鳴いた。よく動いていた。
まだ引き返せる。そう思うとたまらなくなった。
毎日されていた注射だけど、今日のは違った。2分後には眠りにつき、そしてそのまま覚めることはなかった。
眠っている彼女の血管に私が薬を入れた。入れていく間に心臓の鼓動は止まった。
うつろな瞳はもうどこも見ていなかった。
何度も何度も話し合って決めたこと。
助からないいのちは悲しいけれど、消さねばならないいのちは苦しい。
電車のつり革につかまっているのに、思い返してしまった。
ただ、ただ、涙が止まらなくなった。