家路

今日もこの道をただ帰る

歩くこと

長い道。歩く。ただこの足で歩く。自分の足が、一歩ずつ前に出るのをずっと見ている。いつか、こんな日があったことを覚えていたい。足が一歩ずつ今、ちゃんとわたしはいきている。

朝の月

すっかり明るくなった空に、月。薄く透けた、月。闇夜には黄金に輝いていた、月。まだ沈めない、月。太陽には勝てないから、どきどきしながら薄くなって、存在を消してるような、月。でも、ちゃんと見えてるよ。闇夜で、また輝くことも、ちゃんと知ってるよ…

東京

いつ来ても、ここは青空だ。 たくさんの人がいて、モノがあって、たくさんの建物があっても。空は青空だ。空に貫く赤い東京タワー。いつの間にか時代に残されたけれど、青い空と赤い搭のコントラストはいい。ふと見ると飛行機雲もそこに加わっていた。心にか…

匂い

五年もの月日にここで確かにこのひとはここにいたすでに残っているものは僅かでも、この階段を上りこの扉をあけてここで座ってここで眠った場所ここでの最後の夜にここに今今いることが幸せ包まれる

無題

好きな人がいる町はどうして無条件に好きになれるんだろうここに来れて良かった。

列車

知らない町へ私の知らない町へあのひとが過ごしてきたそして、もう離れて行く町へ列車が運ぶひとつひとつ町を越えて列車が運ぶ想いと一緒に少しずつ明るさを失う空少しずつストレスを増して列車が運んでいく。

東の空マンションの上からひとすじぐるっと頭を回す青い空広い空空を割いて西の空のマンションまで次にみたときはふたすじ

冬の朝

振り返る後ろ向きで歩く置き去りにされた透き通った冷たい大気見上げる上を向いて歩く生まれて落ちてくる透き通った冷たい大気透き通った冷たさゆえにかたちをなして